東京高等裁判所 昭和63年(ネ)27号 判決 1988年8月11日
控訴人 東京大和信用組合(不動産登記簿上の商号 大和信用組合)
右代表者代表理事 山本達雄
右訴訟代理人弁護士 有賀正明
佐藤雅美
被控訴人 並木初枝
右訴訟代理人弁護士 中村雅人
中村順子
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
理由
一 当審も、被控訴人の本訴請求は、これを正当として認容すべきものと判断するが、その理由については、左に付加、訂正、削除するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるから、これを引用する。
1 原判決八枚目表五行目「証人」の前に「原審」を加え(以下、特に区別しない限りすべての証人について同じ。)、「証人並木徳麿」を「証人並木徳磨」と改め(以下「並木徳麿」はすべて「並木徳磨」と、「徳麿」はすべて「徳磨」とする。)、裏六行目「帰つたこと」の次に「(なお、当審証人並木徳磨の証言によれば、徳磨は、本件建物を担保に入れることを承諾する旨の念書(乙第一三号証)を自己名義で作成し、これも日暮に預けた。)」を加える。
2 同九枚目表末行「直接」を削り、裏一行目「したものではなく」から三行目「解される。」までを「したものと認められる。なお、日暮は右代理行為についての徳磨の使者とみられる。」と改める。
3 同一〇枚目表二行目「証人並木徳磨の証言」の次に「、当審証人田中新司の証言」を加え、六、七行目「預けたことが認められる。」を「預け、なお、徳磨は、昭和五六年八月から九月にかけ日暮と共に日暮の知合いの田中新司司法書士事務所を訪れ、当初被控訴人の相続を原因とする所有権移転登記手続を、次いで本件根抵当権設定登記手続を依頼したことが認められる。」と改める。
4 同一一枚目表二、三行目「認めることができない。」の次に「なお、徳磨と被控訴人は当時夫婦であり、徳磨はタカラの業務部長として実質的には社長に次ぐ地位にあつたこと(このことは、原審証人日暮正二の証言により認められる。)も右結論を左右するものではなく、また、控訴人主張の如く、徳磨が連帯保証人として限定保証約定書に署名押印し、借入申込書に同人の署名押印及び被控訴人の記名押印をし、本件建物の敷地の賃貸借契約公正証書謄本、地主の担保差入承諾書、地代領収帳写を控訴人に交付したこと(以上の事実は、≪証拠≫及び弁論の全趣旨により認められる。)を考慮に入れても同様である。」を加える。
5 同一二枚目表六行目「話合が行われたこと」の次に「(もつとも、原審証人新川成久の証言によれば、タカラが不渡を出した昭和五九年九月被控訴人は徳磨、日暮、タカラの丸本支店長らと共に控訴人大井町支店を訪れ、そこで徳磨らが債務の分割返済の交渉をするのを聞いていたことがあつた。)」を加える。
6 同一三枚目表四行目「③」の次に「タカラの不渡事故後及び」を加え、裏四行目「本件代理行為」から六行目「される)うえ、」までを削る。
二 以上の次第で、被控訴人の本訴請求は、これを正当として認容すべきであり、これと同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却する
(裁判長裁判官 中村修三 裁判官 菊池信男 関野杜滋子)